深夜割増と夜勤手当は、別のものです

この2つを同じものだと思っていると、自分の夜勤手当が法律の水準を 満たしているのかどうかが分かりません。まず、どちらが法律で決まっていて どちらが病院の裁量なのかを確かめてください。

夜勤手当

病院が決めている

「夜勤手当を払え」という法律の規定はありません。額も、深夜割増を 含むかどうかも、病院が就業規則で決めます。だから病院によって 金額がまったく違いますし、同じ金額でも中身が違います。

法令上の根拠はありません(だからこそ就業規則を見る必要があります)。

支給のかたちは3つある。そして最多は「含む」形

日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」は、平日1回あたりの夜勤に 払っている手当の支給状況を病院に聞いています。回答した3,502病院の うち、いちばん多かったのは「深夜時間帯の割増賃金を含む定額の夜勤手当を支給している」の52.0%でした。この形だと、明細に深夜割増という行が出てきません。 だから多くの看護師が、自分の手当のうちいくらが法定分なのかを 知らないまま働いています。

深夜割増を含んだ定額の夜勤手当病院の52.0% / 1回あたり11,470
9,282

手当の中に法定分が入っている。明細に深夜割増の行は出ない。

深夜割増とは別に定額の夜勤手当病院の31.2% / 1回あたり13,658
11,470

手当は全額が上乗せ。法定分は別の行で付く。

深夜割増のみで夜勤手当なし病院の4.5% / 1回あたり2,188

法律で決まっている分だけが付く。

法律で決まっている分(深夜割増)病院独自の上乗せ

図の金額は「時間単価1,750円・22時〜5時の実労働5時間・夜勤手当11,470円」の場合の例です。 形の違いを見るためのもので、相場ではありません。ご自身の数字は計算機で出せます。割合は日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」図表12(n=3,502)。

同じ「1回11,470円」でも、月の額面は変わる

上の図で、いちばん上と真ん中を見比べてください。夜勤手当の額はどちらも 11,470円ですが、1回あたりの額面は 11,470円 と 13,658円 で、2,188円ちがいます。 これは深夜割増1回ぶんです。月4回なら 8,752円、年間なら 105,024円の差になります。

求人票に「夜勤手当 1回11,000円」とだけ書かれているとき、この2つの どちらなのかは書かれていないことがほとんどです。面接や条件確認の場で 聞くべきなのは金額ではなく、「その手当に深夜割増は含まれていますか」のほうです。

深夜割増の額は、こう決まる

時間単価 × 25% × 22時〜5時の実労働時間

時間単価は「割増賃金の基礎となる賃金 ÷ 1か月の所定労働時間数」です (労働基準法施行規則19条1項4号)。

基礎から外せる手当は、法律で決まっている7つだけ

労働基準法37条5項と施行規則21条により、割増賃金の基礎から外せるのは 次の7つに限られます。これは限定列挙で、ここに書かれていない手当は名前がどうであれ基礎に入ります。

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

つまり職務手当・資格手当・地域手当・危険手当・調整手当などは 基礎に入ります。解説記事の中には「精皆勤手当も外せる」と書いている ものがありますが、条文にはありません。 このサイトは条文のほうを採っています。

労働基準法施行規則19条・21条(e-Gov法令検索)

休憩・仮眠には深夜割増が付かない。ただし

休憩は労働時間ではないので、深夜帯にとった休憩・仮眠には深夜割増は 付きません。計算機で「うち22時〜5時にとる分」を入れてもらっているのは このためです。

ただし、名目が仮眠であっても、ナースコールや急変への対応が求められていて 自由に過ごせない時間は、労働時間として扱われることがあります(手待時間)。実態としてどうだったかで判断されるため、このツールでは 自動では判定しません。仮眠中の対応が常態化している場合は、下の窓口で 相談できます。

割増賃金のことを無料で相談できるところ

割増賃金が正しく払われているかどうかは、給与規程と勤務実績を見ないと 確かめられません。どれも国が設けている無料の窓口です。

窓口の受付時間・連絡先は変わることがあります。最新の情報は各リンク先で ご確認ください。

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